2010FIFAワールドカップ南アフリカ大会が、スペインの優勝で幕を閉じた。
準備期間から閉幕まで、良くも悪くも全世界から注目を浴びた南アフリカ。そして、アフリカ大陸。
ワールドカップが後押ししてか、今年、ちまたではアフリカンファッションが流行しているようである。おそらく、原色が多用された斬新なデザインに惹かれているのだろう。6月12日(土),13日(日)に開催された「AFRICAN FESTA 2010 in YOKOHAMA」でも在日カメルーン共和国大使館のブースをはじめ、多くの人々がアフリカの風を求めて集まっていた。
そんなアフリカ。
“アフリカ”について、一般にどのようなイメージをもっているのだろうか。
私が”アフリカ”から帰国して一年半。多くの人から聞かれたこと。
・アフリカの人は服を着ているの?
・槍をもっている人が歩いているの?
・主食は何?
・どんな家に住んでいたの?屋根はあったの…!?
・電気はあるの?水はあるの?ガスはあるの?
・電話は使えるの?通信手段は?交通手段は?
・暑いの?
・ライオンやキリンなどの野生動物はどこでも見られるの?
・貧しいの?
・現地の人の娯楽は?
・何となく暗い印象だけど、どうだった?
その他にも、一般に抱くイメージとして、
アフリカといえば暑い、治安が悪い、貧困、内戦、よくわからないけど何となく危ない…。
かく言う、私も赴任する前までは、一般の日本人がもつ”ザ・アフリカ”というイメージしかもっていなかった…。
まー、無理もない。日本から10,000km以上離れた大陸で、海外旅行が一般的になった日本人ですら、予防注射を何本もうち、気合いを入れなければ行けないようなところだから…。
“アフリカ”とひとことで言っても、東西に7,400km、南北に8,000kmと、とにかくでかい大陸なので、そもそもひとことで表現しろという方が無理なのかもしれない。
小さな島国の日本でさえ、ひとことで表現するのは難しいかもしれないし…。例えば、”日本”を知らない人から、「”日本”では雪が降りますか?」とか、「”日本人”はみな金持ちですか?」と聞かれて、ひとことでは答えられないと思う…。

少しだけ、アフリカの概要をご紹介。
・面積:3026万平方キロメートル(世界の22.2%)
・国数:53カ国(国連加盟国の27.6%)
・人口:9億2,500万人(世界の14.2%)[2006年]
・アフリカ全域
最北端 – 北緯37度21分
最南端 – 南緯34度51分
最西端 – 西経25度25分
最東端 – 東経63度30分
私は、2007年1月から2009年1月までの2年間、アフリカ南東部に位置するマラウイ共和国で暮らした。同じ異国の地でも、”旅行で訪問する(旅人)”と”その国に暮らす(住人)”では、見えること、得られること、感じられること、、、印象が大きく異なる。2年間、マラウイ共和国の住人となり、旅人として近隣国(ザンビア共和国,エチオピア連邦民主共和国,タンザニア連合共和国,モザンビーク共和国)を訪問した。
住人となって2年目。日本の地方紙の記者から取材を受けたことがある。
~質問~
『「日本は物質的には豊かだが、アフリカは精神面の豊さがある」というような比較を聞くことがあります。日本とマラウイと、どちらの国が「豊か」とお感じになりますか?』
正直、困惑した。「豊かさ」≒「幸せの尺度」、この価値観には明確な尺度が無いと思う。ひとことで「日本は物質的には豊かだが、アフリカは精神面の豊さがある」とは言えないと感じた。
■日本は物質的に豊か?マラウイは物質的に豊かではない??

例えば、マラウイの現地の人の日々の暮らしを見た場合、”生活するのに必要なモノ”は一通り揃っているわけで、彼ら/彼女らの生活レベルは満たされていると思う。対して、日本人は新しいモノ、例え不必要でも興味のあるモノに飛びつき、壊れたら次を買う。(携帯電話なんか良い例かと…)
マラウイで暮らしていると「”物質的に豊か”とは何だろう?」と感じる。
他の例で、例えば”水”。勿論、日本は社会インフラが整っていて、蛇口をひねれば比較的安全な水が確保できる。マラウイは一般家庭への水道普及率はとても低く、マラウイ人は井戸の水を利用し、何度も何度も井戸まで足を運んで水を確保する。一見、日本は便利だー(物質的に豊か!?) と感じてしまう。確かにマラウイは不便(物質的に豊かではない!?) な側面もあるとは思う。しかし、その分、マラウイ人は水の大切さを日本人以上に理解している。また最小限の水でどのように暮らすかというような生活の知恵をもっている。それだけでなく、井戸に行き、近所の人々と情報交換/交流することで地域社会の絆が生まれる。日本人では薄れかけている絆…。
このように、「物質的に豊か」かどうか、またその良し悪しを図るのは難しいこと。
■精神面の豊かさ
これは個人差もあるとか思うが…。
精神面の豊かさを”大らかさ(精神的なゆとり)”で捉えるならば、圧倒的にマラウイが豊か。
日本から12,000km離れてアフリカの大地に住んでいると、日本という国を客観的にみるようになる。また、自分が日本人であることを強く感じることがある。そりゃそうだ、日本で生まれ、約30年間を日本で生きてきたわけだし…。
日本人としての一般的な価値観に戻ると、日本はやはり生活しやすいし、良くも悪くも”お金さえあれば何でも購入できる/楽しめる”豊かな国だと思う。マラウイではお金があっても購入できないモノがあるし…。話は飛んでしまうが、当時、マラウイに唯一あるコカコーラの工場の機械が壊れ、全国的にコカコーラ、ファンタ、スプライトが買いづらい、もしくは買えない状況があった。地方の村々で唯一買える高級ソフトドリンクがコカコーラシリーズ!?で、マラウイ人は大好きだが、当時は手に入らない状況だった…。そういう事態になると物質的に問題のない日本がいいのかなーと思ったりする。でも、そんな状況に至っても文句一つ言わず工場の機械が直り、流通の復活を穏やかに待つマラウイ人、その心のゆとりはそれはそれで素敵だなーと思ったり…。
日本で近年話題になっているスローライフ。これは、精神面の豊かさを求めての行動?かもしれないが、マラウイではそれが当たり前。このスローライフの視点で考えるならば、マラウイは”お金では買えない豊かさを持っている国”かもしれない。
“先進国”とか”途上国”とかいう分類や表現は好きではない。
便宜上、”途上国”という言葉を使うが、”途上国”に生まれ育った人たちは、それが当たり前の世界。不思議と必死に生きているという印象ではなく、生命を受け、人間らしく生きているという印象が強く残った。
2年間、住人として感じたこと、思ったことなど、徒然なるままにアフリカの風を届けていきたい。

■外務省:マラウイ共和国
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/malawi/
■駐日マラウイ共和国大使館 公式ホームページ
(The Official Website of the Embassy of the Republic of Malawi to Japan)
http://www.malawiembassy.org/jp/
■日本マラウイ協会(Malawi Society of Japan)
http://www.joca.or.jp/malaw/malawi-j.htm