講師紹介
講師プロフィール

ハワイ大学教授
Jonathan Osorio (ジョナサン・オーソリオ)
Professor of Hawai'inuiākea School of Hawaiian Knowledge, University of Hawai'i
ハワイ大学にて博士号を取得し、現職はハワイ大学ハワイ知識学部教授。専門はハワイの歴史。2010年には、地域活性化の専門家として社会に多大な貢献を果たしたことが評価され、「2010 Robert W. Clopton Award for Distinguished Community Service」を受賞。EWKLPでは「Globalizing Hawaii」のクラスを担当。
歴史を学ぶことで、今の時代を生きる自分の存在意義を見出せる。
自分が今何をすべきなのかがはっきりと分かるようになります
ハワイの歴史の研究を始めたのは、故郷の歴史を多くの人に伝えるため

私はネイティブなハワイ人です。出身はハワイ島ヒロですが、今はオアフ島に住んでおり、これまでの人生のほとんどをハワイで過ごしています。ハワイには何千年という素晴らしい歴史があり、ハワイの人々にはその歴史が伝えられてきました。しかし、ジェームス・クック(通称キャプテン・クック)がハワイに来航した18世紀以前のハワイの歴史は文書としてまとまっていません。あたかもキャプテン・クック来航からハワイの歴史が始まったかのようです。ハワイの歴史を多くの人に伝えるために、ハワイの歴史を研究し、まとめようと決心したのは大学生になった頃です。自分の人生を奉げるに値する仕事だと思ったのです。それがハワイの歴史について研究を始めたきっかけです。
ハワイは様々な人を受容し社会に融合し、多様化を乗り越えてきた
ハワイは、アメリカ本土とも違う独特な歴史を持っています。キャプテン・クック来航以来、移民を受け入れ、社会に組みこんできたという歴史があります。これは、他の国ではあまり見られません。19世紀に入ると、他のアジア・パシフィックにある国と同じように、フランス、オランダ、英国、米国によって植民地化される危機にもさらされてきましたが、西洋のやり方・考え方に折り合いをつけながら、ハワイ独自の政府や社会を作り上げようと努力してきました。伝統的な言語、慣習、宗教の変化にも適応しながら、世界の国々と溶け合い発展してきました。今でも移民を受け入れています。ハワイは様々な人や文化を受け入れ、社会に順応できるよう助け合いの努力をしてきた場所なのです。
ハワイの歴史から、世界の変化に対応するためのヒントを学んでほしい

しかし、長年に渡って民族を受け入れてきた故にハワイが直面する課題もあります。例えば、多様な人々が共存する社会を作りながら、人々の持つ個性や価値をどのように守っていけばよいのかというジレンマです。ハワイは、ただ単に赴くままに変化してきたわけではありません。私達の社会のあり方を考え、私達独自の社会を作る最適な方法をいくつもの選択肢の中から選んできました。
グローバル化が進む中、単一民族として発展してきた国も様々な国から人々を受け入れる必要性が出てきています。異なる国・文化を持った人々をどのように受け入れていったらよいのか。また多様化が進めば、ハワイが直面した問題も抱えることになるでしょう。長い間異文化を受け入れてきたハワイの歴史の中に、これから何が起こるのか、何をすべきか等について他の国に参考になる点があるのではないかと思っています。
また、講義の中ではハワイ経済の変遷も取り上げます。西洋文明との接触以降、船舶の中継地に始まり、捕鯨、砂糖キビ栽培といった産業が発展しましたが、どれも衰退しました。現在は観光が主要産業ですが、未来永劫続くものではありません。
アメリカ合衆国に併合されてから、ハワイは経済的にアメリカ本土との関係・影響を強く受けるようになります。しかしながら、地理的にもアジア・パシフィック地域に近いハワイは、アジア・パシフィック地域の中心として独自の立場を築けるのではないかという考えもあり、現在でもハワイでは様々な議論が繰り広げられています。
講義では、ハワイの経済の変遷・独自性を学んでもらった後に、生徒に問いかけます。「このような状況下で、あなただったらどのようにハワイ独自の産業を開拓し、経済を発展させようと思いますか? あなたの考えを教えて下さい」と。歴史・ひとを理解しなければ未来を描けないことを、実感してもらうためです。
ナレッジリーダーになるには、祖国や世界の歴史を知ることが重要です

ナレッジリーダーは、祖国や世界の歴史を理解しておくべきです。さもないと、これまで人類が築いてきた英知・経験を自分に関連づけることができません。何のために、何に向かって仕事をするのかを理解することができませんし、自分自身や自分が属するコミュニティのビジョンを作ることができません。もし、あなたが国を背負うリーダーになるとしたら、人々がどのように生きてきたかを知らずして国のビジョンを打ち出すのは難しいでしょう。
ハワイの歴史を学ぶことによって、世界や自国の歴史に対するありがたみや重要さを感じてほしいと思います。一人一人が世界や時代を構成していることに気づくことで、自分の存在意義を理解できるのです。私は歴史家であり、ハワイの歴史に精通しているため、たまたまハワイの歴史を教えていますが、本当に生徒に伝えたいのは、歴史への感謝なのです。
地域周辺の人と助け合って生きるアロハスピリットを学んでほしい
ハワイでは昔から人々が助け合って生きてきました。それは今も続いています。例えば、ごく限られたひとが裕福で、それ以外のひとが食べるものにも困る生活を強いられていたとしたら、ハワイの住民は見ていられません。ハワイに来たら、人と物を共有し、コミュニティ全体を考えた行動をとる住民を見ることができると思います。アロハスピリットとは、快く人々を迎え入れるだけではなく、周辺のひとの面倒を見たり、コミュニティを正しい方向へ向ける責任感でもあるのです。是非、ハワイに来て、目を凝らしてハワイを観察してみて下さい。ハワイ住民の精神を感じ取り、あなたの祖国でも役立ててほしい。それが私の願いです。
ジョナサン・オーソリオ講師からのメッセージ
Open your eyes wide, listen and pay attention to what is happening here

JAIMSに参加すると、ハワイに数ヵ月住むことになります。誰もが異国に住むということを経験できるものではありません。このチャンスを生かすためにも、目を凝らしてハワイを観察し、地域に根付いたアロハスピリットやハワイの歴史を知ってほしいと思います。そうすれば、現地の人々を理解しやすくなり、ハワイの社会に溶け込みやすくなるでしょう。そして、ハワイで感じ取ったことをあなたが生まれた地域・国に生かしてほしいと思っています。







