米国見聞録 JAIMS支援部スタッフ執筆
006. 英語を話せるようになるまで (2009/9/30)
私は元々、語学留学のために日本の大学を休学して米国へ渡ったので、当初はあまり英語ができませんでした。それが長年の苦労を経て、最終的には現地の会社で仕事をするまでになりました。JAIMSへの留学を検討している方の中には、留学するからにはマネジメント知識を高めるだけでなく、英語力も伸ばしたいと考える方が多くいらっしゃり、留学期間中に英語力はどれくらい伸びるのでしょうという質問を受けることもあります。こればかりは個人差があるので何とも言えないのですが、ご参考までに私の体験をお話したいと思います。
私は受験のための英語は勉強していましたが、あくまでも試験に合格するために必要な読み書きばかりを強化していたので、英語学校では色々と苦労しました。最初にショックを受けたのは、クラス分けでした。初日の午前中にクラス分けのテストを受け、午後に発表された結果は、9レベルあるうちの、下から3番目でした。かなり落胆しましたが、基礎からじっくりと英語力を強化しようと考え直し、授業へ行きました。クラスメイトは英語の勉強を始めて数ヶ月の南米の人たちや、あまり英語を勉強したことが無かった中東の人たちが中心で、最初の授業は現在完了形でした。いくら基礎から勉強するといっても、これでは少々レベルが低すぎるのではないかと思いましたが、悲劇はスピーキングの時間に起きました。先生が言う簡単なフレーズを繰り返す練習でしたが、先生が話しているフレーズが全く聞き取れず、何を話せば良いのか分かりませんでした。先生からは、もう1つ下のクラスに行った方が良いと言いましたが、それだけは勘弁してくれと頼み込んで、何とかこのクラスで1ヶ月を過ごすことになりました。
アメリカに行った当初は、英語を話すと言っても、まずは話す内容を日本語で考え、英作文の試験問題に解答する要領で文章を頭の中で作り上げ、それを喋るというプロセスでした。しかしこのやり方では、話をするタイミングを逃してしまうし、文章も複雑で、会話には不向きでした。しかしある時、転機が訪れました。
語学学校に入学して数週間経ったある週末の夜、寮には私とブラジル人ルームメイトのエニュードしか残っていませんでした。同じ建物に住んでいたアメリカ人の学生たちは、春の学期が終わったので実家へ戻ってしまい、残っていた語学学校の学生たちは、どこかで開かれたパーティーへ行ったらしく、それを知らなかった私とエニュードだけが取り残されたのです。2人ともお腹は空いたけれども、近くのレストランで食事をするお金もなく、また雨が降っていたので、1キロ以上離れた所にあるスーパーマーケットまで行く気もしませんでした。2人で色々と悩んだあげく、ピザを注文することになりました。そこで決まらなかったのが、誰が注文するかです。
エニュードは私より1ヶ月前にアメリカへ来ましたが、この語学学校では一番下のクラスから始めており、この時彼は私よりも1つ下のクラスにいました。彼の主張は、私の方が上のクラスにいるのだから、私が注文すべきだとのことでした。しかし私の言い分は、確かに私は上のクラスにいますが、アルファベットを使う国から来た人たちの方が日本人よりも英語の習得が早く、また、我々日本人が全く分からないような英単語でも、語源が似ているから理解できるのを授業中にもしばしば目にしていたので、アメリカ人を相手に電話で話をするのは、エニュードの方が向いているというものでした。議論は両者譲らず、平行線をたどっていましたが、ある時エニュードが、「分かった、それじゃ、ボクが電話するよ」と言ってくれました。ホッとしたのも束の間、エニュードはピザ屋に電話すると、相手が出た瞬間、突然私に受話器を渡してきたのです。私はエニュードが電話注文してくれるものと思っていたので、ピザ注文の英語のフレーズの事はすっかり頭から抜けており、また不意打ちで電話を渡されたので、電話を切るという事も思いつかず、四苦八苦の末、何とか注文しました。電話を切った後、エニュードに文句を言うと、「ボクは電話するとは言ったけど、注文するとは言ってないよ」と平気で言う始末。まんまと彼の狙いにはめられてしまいました。しかしこの時から、英語を喋る時に、事前に頭の中で作り上げた文章を口から発するのではなく、喋るのと同時に英文を考えることが自分にもできるという自信が持てるようになりました。
英語を話せるようになるための初期の関門は、英語を話す事への苦手意識を取り除く事や、英語で考えるという事だと思いますが、エニュードのお陰で、私はそれらを意識的に行うようになりました。この出来事によって、私は英語が話せるようになる土台ができたのです。次回の米国見聞録では、実際に英語が話せるようになったと感じた時のお話をしたいと思います。

ピザを注文した語学学校時代の寮
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