米国見聞録 JAIMS支援部スタッフ執筆

009. エコになるアメリカ (2010/1/18)

先日、米国の東海岸と中西部へ行きました。アメリカというと、大量生産・大量消費社会のイメージが強くて、あまりエコロジーという感じがしないかもしれませんが、今回現地を訪問して、少しずつ状況が変わってきているように感じました。

誤解のないように書いておきますが、アメリカにもエコの面で日本より先進的な部分もあります。例えば最近になって日本でも広く普及してきた簡易包装は、米国では以前から普通に行われています。実際問題として、アメリカのような大量生産・大量消費型社会では、エコロジーに配慮する方がコスト高になることもあるため、なかなかエコな社会に転換しにくい面もあります。しかし今回米国を訪問して、従来のような合理性の追求による大量消費型の社会から、少しずつ離反して行くのではないかという兆しが見られました。

写真はアレクサンドリアという町で見つけたリサイクルビンです。上の方にある細長いところは、雑誌などの紙類の投入口で、下の円形のところは、缶と瓶を入れるところです。ワシントンD.C.の郊外にあるアレクサンドリアは、歴史的な街並みが残っているため観光客も多く、パンフレットや無料冊子など、紙類の消費が多いのだと思います。また歩いて観光すると、のどが渇いて飲料の消費も増えるでしょうから、このようなリサイクルビンを路上に設置するのは有効的だと思います。アメリカではゴミの分別回収はあまり行われておらず、何でもひとまとめに捨てるのが一般的です。そういう国柄で、このようなリサイクルビンを路上に設置するというのは、珍しいことだと思います。住んでいる地域ではリサイクルする機会がほとんどない人でも、観光で訪問した先で手軽に紙やドリンク容器のリサイクルをすることができ、環境保全に協力しているという気分を味わう事ができるかもしれません。

しかし今回の米国訪問で最も驚いたのは、機内でのリサイクルです。ノースウエスト航空を利用したのですが、飲み物のカップはリサイクルするために個別に回収されました。まずはカップだけの回収を行い、その後で缶やその他のゴミの回収を行ったのですが、その際にフライトアテンダントは缶だけを別の袋に入れるという方法で空き缶も分別回収していました。フライトアテンダントにとっても、回収の手間が増大しますし、乗客にとっても、ドリンクを飲み終わるのが遅いと、フライトアテンダントがゴミの回収を終えるまでカップを回収してもらえないという不便な思いをすることになります。最初は面倒に感じても、慣れてくると乗客も機内での分別回収を煩わしく思わなくなるのではないかと思います。また着陸前には機内食のメニューや読み終えた新聞、不要な入国関連書類などは、紙類としてリサイクルするために別途回収されました。

ファストフード店でも変化の兆しを感じました。それは紙ナプキンです。ティッシュペーパーのように1枚ナプキンを取り出すと、次の1枚が取り出しやすいように出てくるタイプのディスペンサーを使っている店を何件か見かけました。ファストフードなどでは、紙ナプキンがディスペンサーにギッチリと詰め込まれていることが多く、本当は1枚ずつ取り出すべきなのでしょうけれども、取り出しにくさのためか、ひとつかみにたくさんのナプキンを取り出す人が非常に多く見かけられます。また、ディスペンサーに入りきらないナプキンは、ディスペンサーの上に積み置かれていることもあり、この山からひとつかみのナプキンを持って行く人もしばしば見かけます。

おもむろにナプキンを取り出していると、自分が食事をするためには何枚のナプキンが必要なのかもあまり意識しないと思います。そのため必要最低限のナプキンだけをディスペンサーから取り出すようにするという習慣も始まりにくいと思います。しかし今回見かけたような1枚ずつ取り出すタイプのディスペンサーが普及してくると、使わないかもしれないナプキンを取り出すのは手間になるので、次第に必要最低限の枚数だけを取り出すように、人々の行動が変わってくるのではないかと思います。このようなナプキンディスペンサーは、従来のものよりも高価だと思いますが、消費される紙ナプキンの量が節約されるので、長い目で見るとコスト的にも安くなるでしょうから、今後はこのようなディスペンサーを設置する店舗が増えてくるのではないかと思います。

アメリカは地理的にも文化的にも非常に多様性があるため、東海岸や中西部の一部の都市で見たことだけを根拠に一般論として言うことはできません。しかし人目につくところでリサイクル活動が行われ、自らもそれに参加することになると、次第にリサイクルが特別なものだと感じなくなっていくと思います。またファストフードレストランのような身近なところでも節約行動をするようになると、次第に無駄をしないように心がけるというマインドも芽生えて来るのではないかと思います。このような状況を見て、今後はアメリカでも少しずつエコの意識が強まっていくのではないかと感じました。

アレクサンドリアという町で見つけたリサイクルビン
アレクサンドリアという町で見つけたリサイクルビン

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