米国見聞録 JAIMS支援部スタッフ執筆
013.ケイジャン(2010/4/30)
テキサス州東部のルイジアナ州との州境に行った時、初めてケイジャンの人に会い、ケイジャン料理を食べました。私にとってはアメリカ文化の多様性を改めて認識する体験でした。
ケイジャンとは、フランス語のアカディア人という言葉から来ていると言われています。アカディア人とは、フランスの植民地だった現在のカナダのケベック地方から米国のニューイングランド地方に広がるアカディアと呼ばれた地域に住んでいた人たちのことです。18世紀中頃のフレンチ・インディアン戦争の時に、アカディア人はルイジアナへ移住しましたが、その後も自分たちの文化や言語を維持し、20世紀初頭までアメリカ文化とはあまり接触がなかったそうです。現在、ケイジャンの人たちは、ルイジアナ州からテキサス州にかけて、50万人が住んでいると言われています。
私が会ったケイジャンの人は、ケイジャン英語を話しました。キーワードを元に必死に想像力を働かせましたが、相手が喋っていた内容の半分程度しか理解できませんでした。一緒にいたアメリカ人は、子供の頃、このケイジャンの人がおばあさんの家にメイドさんとしていたので、この人の言葉を聞いて育っているのですが、それでも久しぶりに話をしたら、7割くらいしか分からなかったとのことでした。そういえば、以前、アメリカのドキュメンタリーTV番組で、ケイジャンの人のインタビューの時に、画面に字幕が表示されていた事を思い出しました。英語が母国語のアメリカ人でさえ、ケイジャン英語は字幕がないと理解するのが難しいのだと思います。アメリカで生まれ育った人と話をしているのに、英語が通じないというのは、とても不思議な感じでした。インディアンやイヌイットだけでなく、アーミッシュやケイジャンも独特の言葉を話すのです。言うに及ばず、JAIMSがあるハワイではハワイ語が根付いており、通りや場所の名前にハワイ語がたくさん使われています。
話はケイジャンに戻りますが、せっかくケイジャンの人たちがたくさん住むエリアに来たのだからと、地元の人お勧めのレストランでケイジャン料理を食べました。アメリカの他の地域では、ケイジャン料理とルイジアナのクレオール料理の区別があまり明確ではないところもあるそうですが、この地域ではケイジャンらしいケイジャン料理が食べられるとの事でした。まずはケイジャン料理としてよく知られるガンボスープを注文しました。これはオクラを使ったスープです。伝統的なガンボは、鶏肉とケイジャンのソーセージを使うらしいですが、基本はその地で得られる食材を使うとの事で、私が食べたガンボには、ザリガニやエビなどが入っていました。ケイジャン料理としてよく知られるジャンバラヤも同様で、米を使う事とケイジャン料理の必須の素材であるピーマン、タマネギ、セロリが使われているのは共通していますが、それ以外は地域ごとにバリエーションがあるとの事でした。この時の訪問では、テキサス州のあちこちでジャンバラヤを食べましたが、使われている具材や料理の見た目は毎回異なりました。
アメリカの文化は非常に多様です。どこかの国で生まれ育ち、滞米期間が短いのに米国に帰化して「アメリカ人」になった人にも会いました。また私が会ったケイジャンの人のように、アメリカで生まれ育ちながらも、独特の文化や言語を持つ人達もいます。とかく、「アメリカ文化」とか「アメリカ人」などと、一括りにして話をすることが多いですが、実際にはこのような多様な文化の集合体がアメリカという国なのだと思います。私もケイジャンの人と話をし、ケイジャン料理を食べ、ケイジャンについて学ぶのにつれて、彼らの文化に対する興味が湧いてきました。

あるレストランのジャンバラヤ。料理の仕方や具材は店によって異なる。
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