


「100年に1度」ともいわれる経済危機に多くの企業が直面しています。このような状況になると経営者は短期的な思考に陥ってしまう傾向にあります。いかにリストラをするか、価格を下げて目先の利益を上げるか、と近視眼的な考えを持ってしまいがちです。工場を閉鎖し、従業員を解雇し、設備投資もしなければ黒字化はできる。これは誰にでもできる、当たり前の話です。
私はこのような時期だからこそ、経営者やそれを目指す企業人には、本質を考え抜く力が重要であると伝えたい。「本質を考える」とは、何が本当か、何が善いことか、何が美しいことかと「真・善・美」について、頭ではなく実践を通じて徹底的に考え抜くことです。マネジメントにおいては、「世のため、人のため」という大きな関係性の中に自らを位置づけ、「我が社は何故存在するのか」といった社会的存在意義(本質)を追求し、その理想に向かって、組織の在り方、人的資源の在り方を考えていく必要があります。この「本質」の根底にあるのは、主観、思い、夢といった個人の経験をベースとした「暗黙知」であり、この知を組織に、社会に広げていくには、「暗黙知」を客観的な言葉に変えて説得していくことが重要です。

「暗黙知」とは、個人が経験の中で培ってきた思い、ノウハウや感覚など、社会生活の中で蓄積する主観的な経験知のことで、日本のプロフェッショナルや熟練職人などが持つ、言語化やデータ化しにくい知識です。これに対して、西洋で重んじられるものが「形式知」です。「形式知」とは言葉や概念、数値として客観的に表すことができる知で、ビジネススクールで学ぶようなマネジメントに関するハウツーがそれに当たります。マネジメントにおいては、このような概念も必須となります。
つまり本質の追求のためには、「暗黙知」と「形式知」をスパイラルアップさせることが不可欠なのです。